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新築タワーマンション(タワマン)にかかる固定資産税・都市計画税と不動産取得税が、2017年の4月から見直されることになりました。
これは、「高層階ほど増税、低層階ほど減税、中層階は据え置き」というもので、毎年の固定資産税ばかりかその後の相続税にまで課税が強化される見込みとなっています。これからタワマンを購入、あるいは投資をしようとしている人は、よくよくチェックしておくべき事項でしょう。

最上階と1階の販売価格とでは、2倍の開きも

タワマンとは、高さが60mを超える建築物(建築基準法令上の「超高層建築物」)で、各階平均3mとして約20階以上の居住用の建物を指します。タワマンの取引価格は、眺望の良い上層階にいくほど高くなっており、最下層階と最上層階との販売価格を比べて見ますと、2倍ほどの開きがあるほどです。しかし、現在の固定資産税は、同じマンションの同じ広さの床面積であれば、1階でも最上階でも同額になっています。それを今回は、物件取引価格の資産価値に応じて、固定資産税も変えることにしたのです。

具体的には、中間の階の固定資産税額は現状のままの据え置きとし、そこから階数が1階ずつ上がるごとに約0.26%ずつ税額が上がるようにします。逆に中間階から1階ずつ下がるごとに税額は約0.26%ずつ下がっていきます。例えば、40階建てのタワマンの場合、固定資産税が年20万円とすると、最上階の40階は約21万円となり、1階の約19万円と比べると10%ほど税額が高くなり、現在の税額よりも5%増税になります。また、他の部屋よりも天井の高さや、付帯設備が著しく充実している豪華な上層階の部屋などは、別途その差異に応じて税額を上乗せすることもあるのです。

同じマンション内なら、税額はわずか10%ほどの差

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これにより「上層階に行くほど高値で売買されているのに、固定資産額は階数に関係なく同額だから、高層階の人が得をしている」という矛盾点は一応解消されます。しかし、タワマン1棟の合計の税額は、結局は現行と同じなので、同じマンション内で、わずか10%ほどの差くらいでは、富裕層の人にとっては大した影響はなく、タワマンの資産価値も大きく揺らぐことないものと思われます。

この新税制が適用されるのは、2017年4月以降に販売されるタワマンとなり、固定資産税・都市計画税は、2018年度から実施されます。つまり、17年3月末までに売買契約をしておけば適用されません。

タワマンは、全国で1200棟を超えるほど、地方の中核都市にも普及し始めています。特に高層階は、市場価格が高い割には税金が安いことから、富裕層の人からは投資として、また相続税の節税対策としても人気を誇っています。

長周期地震動など、タワマンをめぐる環境に変化が

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しかし、ここへきてタワマンをめぐる環境は、今回の課税見直しを横目に、大きく変わろうとしております。
その最大の理由は、いかに堅古・不燃のタワマンといえども、震度6以上の大規模地震動に対しては、ひび割れ・亀裂等のさまざまな被害が発生するという防災上の問題です。特に最近問題になってきた「超高層マンションでの長周期地震動」は、巨大地震時に発生する「船が大きく揺れる」ような長周期でゆっくり大きく揺れるため、とくに高くなればなるほどタワマンに及ぼす影響が大きく、被害がひどくなることから注目されているのです。
実際、東日本大震災の時に、東京・新宿の超高層ビルでは最大1.08mの長周期地震動の大きな長い揺れを観測しており、さらに遠くの大阪の超高層ビルまでも、長周期地震動の揺れの動きで、エレンベータ―が止まってしまい、中に人が閉じ込められたり、内装材が破損するという被害が出ています。

地震に強いとされてきたタワマンでも、長周期地震動に対する対策は手薄で、火災やエレベーターが停止したりすると、非常階段などの避難経路に居住者が一斉に集中し、大混乱のパニック状況が予想されます。これがため、最近では、富裕層の人でもリスクを考えて高層階を求める人ばかりではなくなっており、エレベーターに依存することもない低層階に移り住む人も出てきているといいます。そういう意味では、今回のタワマン課税でも、チマチマした後追い課税的な面があるのが、気になるところではありますね。