お客さま側IT接客・大京穴吹不動産
国土交通省が10月をめどに運用開始した、不動産の賃貸取引に限っての「ITを活用した重要事項説明(重説)」に呼応して、民間側からも注目すべき動きが出てきました。

この新たな不動産テックともいうべき動きは、不動産仲介業大手の「大京穴吹不動産」が6月から開始した「店舗間IT接客(遠隔地所有者接客対応)」です。これは遠隔地にある不動産の売買や賃貸の相談に関して、お客さまが最寄りの店舗・営業所からモニターを通じ、遠隔地の現地担当者と会話ができるシステムになります。

大京穴吹不動産が31都道府県、72店舗・営業所の全国ネットでサービス開始

大京穴吹不動産は、これまで遠隔地の保有不動産取引について店舗間の電話対応をしていたことを改め、全国72拠点(31都道府県、72店舗・営業所の全国ネットワーク
(2017年6月30日現在))をwebでつなぎ、各店舗に設置してあるパソコンとwebカメラによって、お客様が店員とリアルタイムで「対面しあっている」かのように、安心して話ができるシステムを確立しました。
使用しているツールは、NTTテクノクロスが提供しているweb会議システム「ミーティングプラザ」です。これはきわめて「臨場感のあるコミュニケーション」が実現できる本物志向となっており、不動産業界のみならず産業界の各方面で利用されています。

ネット回線のテレビ電話で、遠隔地間同士を「対面接客」

(差し替え分)IT接客・大京穴吹不動産
「店舗間IT接客」は、IT重説にも対応している「ミーティングプラザ」(前述)を使用し、インターネット回線を通してお客さまと遠隔で「対面接客」(テレビ電話)を行います。想定される利用者(お客さま)の具体的な事例をパターン化すると、遠隔地の不動産取引におけるさまざまなニーズがうかびあがってきます。

ご両親の自宅などを地方の遠隔地に保有する、首都圏など大都市に住む地方出身のお客さま(相続した遠隔地にある実家等が空き家になり、その売却や管理について、地元の担当者に相談したい場合など)

管理できずに困っている地方の実家の不動産。空き家になってしまったけれど、地元の不動屋さんは知らないし、何度も田舎に出向くのも大変だし…。

遠隔地に投資物件を所有するお客さま、または遠隔地に投資を検討しているお客さま(投資目的で購入した地方のマンションやアパート、リゾート物件の売却や賃貸管理、あるいは購入したい場合など)

海の近くに気軽に滞在したいから、別荘としてリゾートマンションを探したい。どこに相談したらいいだろうか…。

昔、投資目的で買った地方のマンションをそろそろ手放したい。売却は地元の不動屋さんにお願いしたいけど、現地が遠くて…。

転勤などの理由で、居住地以外に不動産を探したいお客さま
(転勤先の地理や住宅事情が分からず、現地の担当者に相談したい場合など) 

お子様のために、大都市圏でマンションなどの不動産を購入しようとしている地方在住のお客さま

リフォーム工事や賃貸取引の「IT重説」化にも応用・活用

こうしたお客様のさまざまなニーズにこたえるためには、まず、お客さまに最寄りの店舗・営業所に来てもらうことから始まりますが、効率を上げるためには、事前に遠隔地に大まかに相談内容を伝え、さらに来店日時を予約しておけば、一層中身のある相談が実現します。例えば、東京の店舗からでも、モニターを通すことで福岡エリアに詳しい店舗スタッフとスムーズに話が進行できるのです。

大京穴吹不動産は6月からこの「店舗間IT接客」のサービスを始めていますが、今後は対象範囲のサービス内容をさらに拡充・拡大していく予定です。単なる仲介取引だけでなく、大京グループ各社が提供している新築物件、インテリア、リフォーム・リノベーションの相談、さらには、税理士やファイナンシャル・プランナーなどとの相談ごとについても利用できるようになるとのこと。また、今年の10月から本格運用が予定されている賃貸取引における「IT重説」の対応準備もしており、将来的には住宅に関するあらゆる相談窓口のIT拠点となるように進めていくとしています。