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国土交通省の土地鑑定委員会が、地価公示発表の際の参考となる全国都道府県の「地価の価格形成要因」の概要をまとめました。特徴的だったのは2点。①地方圏の商業地が平成4年以来26年ぶりに上昇したのと同時に、住宅地も含めた全国全用途の平均でも26年ぶりに下落を脱して横ばいに転じたこと、②地方中核都市の4市「札仙広福」(札幌、仙台、広島、福岡)や古都・京都市の地価上昇率が高い伸びを見せていることです。この地域に勢いが殺到している背景には、外国人観光客の増加、及び旺盛な企業活動による店舗・ホテル需要が堅調なことに加え、都市再開発事業の進展などがあげられます。そこで今回は、全国主要大都市の現在の地価動向を追ってみました。
第1回目は、需要が活発化している「札幌・ニセコ観光圏エリア」から。

札幌中央区の商業地「ジョイフルさっぽろ」では、25%もの大幅上昇

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札幌市の商業地は、札幌駅周辺やすすきの地区を中心に外国人観光客の増加を背景とした店舗・ホテル需要が堅調です。また、札幌駅周辺では複数の再開発事業が進んでおり、加えて、地下鉄の沿線では、駅周辺のマンション用地の需要も旺盛になっています。

具体的に見ましょう。今年の札幌市の商業地は地価上昇率は昨年の6.1%増を上回る7.4%増となり、5年連続で上昇しました。とくに中央区では12.6%と大幅に上昇しており、中央区南6条西3丁目の「ジョイフルさっぽろ」では24.7%増という上昇率を見せています。これで札幌市は、全国商業地の上昇率ランキング第9位となりました。

中心部ではオフィス需要が増加していて、ビジネス街の空室率も2%台とタイトになっております。大通地区、すすきの地区では、外国人観光客に伴うホテル需要のインバウンド投資が目立ち、地価上昇が続いています。

中心部周辺の大通西地区、創成川イースト地区、すすきの地区は容積率が高く、ホテル用地需要等を背景とした高値取引も見られ、地価上昇率が高い傾向となりました。とくに、すすきの地区では、中心部に立地するビルの建て替え、外国人観光客の増加、ホテル客数の不足もあり、周辺でのホテル用地の高値取得が顕在化した結果、地価が大幅に上昇しました。

豊平区が今年7.5%(昨年6.8%増)上昇した理由については、マンション・アパート建設目的の需要が多くわりに、商業地の売り物件が少ないという背景があります。つまり、物件が売りに出ると、すぐに売れるしまう状況にあるのです。一方、9.3%と大幅上昇した北区(昨年は6.2%増)では、札幌駅北口エリアが北区最高価格地点となり、地価上昇率が拡大しました。とくに、このエリアは、オフィスビルの空室率低下に加え、駅の南口エリアとの比較における相対的な割安感から需要は根強いとされています。

なお、近郊都市の小樽市は今年1.2%増(昨年は-0.3%)と初のプラスとなり、観光客の増加が大きく寄与したと見られています。最高価格地のメルヘン交差点付近の地点が上昇幅を拡大し、小樽運河に近接する地区が上昇へと転換しました。

札幌のマンション価格も、バブル期の最高値を上回る

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次に、札幌市の住宅地の動向を見ましょう。
札幌市の住宅地は5年連続の上昇となり、2.3%増(昨年2.0%増)となりました。北区、白石区、豊平区、厚別区、清田区、手稲区等では、上昇率が昨年の伸びを上回り、地価の高い中央区から、相対的に割安感のある隣接区等の利便性の高い地域への地価上昇の移行が見られました。

昨年に比べて、貸家の新設住宅着工戸数がやや一服感はあるものの、比較的規模の小さい土地においては、昨年同様アパート用地需要が増加しています。一方、札幌のマンション用地は、市内平均の坪単位が約160万円となり、バブル期の最高値を上回りました。さらに今後、市内初の坪単価300万円超の物件の物件が供給される見込みで、富裕層やシニア層の需要を取り込む動きも見られます。

ニセコ観光エリアでは「倶知安町」が商業地、住宅地とも全国上昇率第1位に

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次に世界的なスキーリゾートとなった「北海道・ニセコ観光圏エリア」に注目してみましょう。
昨今、「ニセコに別荘」というのが海外富裕層のステータスとなりつつあり、現地にはオーストラリアやアジアからの観光客が行き交い、訪日外国人観光客の人気スポットとなっています。こうした動きを背景に、このエリアの地価は今年急激な上昇率を見せました。ニセコ観光圏の一翼を担う「俱知安町(くっちゃんちょう)」が、住宅地の全国上昇率のトップ3を独占、商業地の全国上昇率もトップとなったのです。

全国トップ3の1位は、「俱知安町南3条東1丁目」で、33.3%もの大幅上昇(昨年6.1%増)、2位は「俱知安町字山田」の31.6%増、3位が「俱知安町北7条西4丁目」の25.9%増で、商業地の全国上昇率1位は、「俱知安町南1条西1丁目」で35.6%の増(昨年9.3%増)となり、商業地と住宅地のいずれもが30%を超える値上がりとなっています。

その背景には以下の3点が考えられます。

① 外国人観光客の増加に伴う市街地における店舗需要やリゾート施設の従業員等も含めた宿舎ニーズの高まりで、別荘・ペンション・コンドミニアム・ホテル・アパート等の需要が強い。
② 北海道新幹線の延長建設工事の進展や高速道路事業の着手
③ 外国人による別荘地としての取得需要など。

これらの複合的な要因により、地価が大きく上昇しました。

また、周辺エリアの町村も含めて需要が強く、欲しい物件を手当てしようとしても、供給が限定的であることから、即決できる買い手が優先される過熱状況になっているといいます。具体的には、「ニセコ町」における札幌企業のアパート建築などの投資が活発なことと、外国人定住者の増加で、彼らが続々とニセコの土地を購入していることが挙げられます。オーストラリア人に加えて、最近では中国人や、香港・台湾人などのアジアの客層も相次いで別荘建築に着手しているそうです。また、近隣の「留寿都村」のリゾート投資や、「岩内町」の外資によるスキー場取得など、投資の動きも広範囲に及んでいます。

札幌市は「立地適正化計画」を策定し、都市機能の適切な配置を推進

今後、札幌市は「立地適正化計画」を策定し、人口減少下においての市街地区分に応じた人口密度の適正化や、公共交通を基軸とした各種都市機能の適切な配置を図るとしています。地価への影響はまだ現れていませんが、地下鉄駅付近の容積率の緩和や、郊外で居住誘導区域外の地域については、今後土地需要の減退も考えられます。

札幌市南区真駒内公園のボールパーク構想も再浮上しており、この決定次第では、真駒内駅からの回遊ルート、公園周辺に大きな影響が想定されます。また、平成31年度を目標に「(仮称)真駒内駅前地区まちづくり計画」が策定される予定で、将来的には真駒内駅前の施設配置が変化する可能性も想定されます。