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少子・高齢化時代が本格的に到来しています。
今までのような「夫婦プラス子供2人(もしくは子供1人)」という家族形態は過去のものとなりつつあり、最近は若者、高齢者、都市部、地方といわず、「ひとり住まい」が急激に増えてきました。とりわけ「おひとりさま」と呼ばれる単身者は、今後とも増えてゆく見通しです。そこで今回は、最新の「ひとり住まい」ニーズを探ってみました。

「1人世帯」が、3分の1強の1,840万人と大幅上昇

図表1

図表1


総務省の「国勢調査(2015年版)」によると、「世帯人員別一般世帯数の推移(全国)」において「1人世帯」は1,840満世帯(1,840万人)となり、全世帯数5,330満世帯の34.5%と、3分の1強を占めるまでになりました。ちなみに、10年前の2005年は、【図表1】の通りで、「1人世帯」は29.5%(1,450万世帯)で、20年前の1995年と比べてみると、「1人世帯」は、さらに少なく25.6%(1,120万世帯)でした。いかに「1人世帯」が、この20年の間で大幅に増加したかがわかります。

50㎡未満の持ち家購入を検討している単身者は44%にも

『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査

『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査

不動産流通経営協会(FRK)が発表した「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査(※)」によると、ひとり住まいのために住宅を購入するニーズが、全住宅検討者のうちの21.3%と、一定程度存在することが確認されました。また、住宅検討者の44%が50㎡未満を選択肢に入れており、実際の購入時に50平方メートル未満を選択するのは購入者のうちの29.9%という結果でした。

50㎡未満の物件は住宅ローン控除制度の対象外であるため、最初から購入検討の対象から外れていたり、控除対象外であることを知って50㎡以上の物件に検討を切り替えたというケースが多く見られます。住宅ローン控除制度の面積要件は、住宅購入者の判断に大きな影響を与えているようです。

(※2018年1月30日発表。三大都市圏に住む25歳以上64歳以下の男女で、「単身で住む住宅購入者1,986人」と「単身で住む予定の住宅検討者2,411人」の「合計4,397人」からの回答者)

50㎡未満の住宅を購入した単身女性の大半は、40歳前後の事務職正社員

50㎡未満の物件購入者の年齢・年収・職業・購入検討理由等を集計したものが、【図表2】です。50㎡未満の物件を購入した単身者の平均年齢は、男性38.0歳、女性44.2歳と、女性の方が6.2歳も高い結果となりました。年齢の分布をみても、男性の場合は25~34歳が半数近い46.1%を占めているのに対して、女性は35~44歳が37.6%、45~54歳が27.1%という結果になっています。男性は比較的若い層に多く、女性は40代が中心というこのデータは、男女による住宅購入の意識の違いを顕著に表しているといえるでしょう。将来の買い替えも視野に入れている男性に比べると、女性は自分の将来をある程度決めて購入している感があり、住宅スゴロクの上りに近い状態にあると言えます。

平均年収は男性が503万円、女性387万円と男性の方が高いですが、預貯金等の平均金融資産は男性が1,002万円、女性1,016万円と女性の方がしっかりと貯め込んでおり、また平均住宅購入金額も男性1,798万円、女性2,086万円と、女性の方が高くなっていて堅実性がうかがえます。職業別では、男性は正社員、公務員、会社役員の比率が82.5%と、女性の63.8%よりも高く、男性の職業が幅広く分散しているのに対し、女性の場合は、事務職正社員という職業についている人が43.5%と過半数に近く、圧倒的に多いのが特徴的です。

単身女性の持ち家ニーズは、「老後の安心」

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このほか、男性と女性で異なる点として、「将来もひとり暮らし」と考えている比率が、男性が83.1%なのに対して、女性は87.5%と若干高く見られています。男性の場合は、「将来は配偶者と住む可能性がある」と答えた人が20.9%と高いのに対し、女性の場合は10人に1人の10.8%に過ぎません。また、女性は、「老後は持ち家の方が何かと安心である」と思う比率が90.1%と大部分の人が考えており、男性の67.9%に比べて格段に多くなっています。

単身者同士が同居する「茶飲み同居人」も急増し、「疑似家族時代」の到来も?

なお、「おひとりさま」では生きる力が湧いてこないという理由からか、長く「ひとり暮らし」をしている50歳以上の単身者同士が同居する2人世帯が増えているのも注目されます。2015年の「国勢調査」の統計をもとに推計すると、これら「非家族同居人」、つまり「戸籍に入っていない男女の茶飲み同居人」とみられる世帯は約16万人もいると推計されています。2018年以降、この世帯はさらに増えていくと思われます。

その16万世帯の内訳を類推すると、①男女の籍には入ってない高齢者同士(高齢者男性の介護と中年の女性の同居等マチマチ)、②女性同士の同居(年の離れた女性同士なども)が主で③男性同士の同居はきわめて少ない――とう結果になっています。最近はシェアハウス、シェアホーム、グループリビングといった、かつての寄宿舎生活のような住まいをする人も多くなってきました。この先、社会全般に「疑似家族の時代」が到来するのかもしれませんね。