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国土交通省は今年10月、不動産にかかわる情報ストックシステム「不動産総合データベース(以下、DB)」の試行運用エリアをさらに拡大しました。これは、平成30年度からの本格的運用を目指したもので、これまでの横浜市に加え、静岡市、大阪市、福岡市の3都市を新たに追加し、各都市の不動産売買物件(戸建て、マンション、土地)を対象に、システムの試行運用を行います。

利用対象者は、中部圏不動産流通機構会員(静岡県内)、近畿圏不動産流通機構会員、西日本不動産流通機構会員(福岡県内)です。今後は横浜市も加えた4都市での試行運用を通じて、システムの効果・課題を検証、本格運用に向けた検討を行います。期間は、平成29年3月末までの予定です。

不動産情報が一元化され、透明性・効率化も

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この「不動産総合DB」の情報ストックシステムは、宅地建物取引業者が不動産取引に必要な情報を幅広く容易に収集するものです。物件の過去の取引履歴、成約価格、住宅履歴情報、マンション管理情報、周辺のインフラの整備状況や公共施設の立地状況、周辺不動産取引価格情報等、物件情報や周辺エリア情報など、不動産取引に必要な情報に関して、より精度を高めたものを消費者に提供することが目的です。

これにより、不動産情報管理が一元化され、不動産取引の透明性・効率性が高められると見込まれています。最終的には、中古住宅の流通が活性化され、促進されることを狙っています。

この「不動産総合DB」は、米国の不動産取引にかかわる情報提供システム「MLS」を参考にされています。米国では現在、約900もの「MLS」が存在し、市場に各地域の不動産物件情報が開示され、住宅流通が促進されています。売り手エージェントは、売り手との専任媒介契約締結後、24~48時間以内に「MLS」への物件情報搭載が義務付けられ、そのルールは厳格な罰則等により順守されています。また、「MLS」から売買価格、エージェントの連絡先、固定資産税額、過去の売買履歴(過去の所有者・成約価格等)や学校・商業施設、地域住民の特色等の周辺情報も取得可能となっており、不動産の情報提供や流通促進に大いに寄与しております。

新たに静岡、大阪、福岡の3都市で試行運用

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この「MLS」を手本に取りまとめられたのが、国土交通省が平成26年3月に発表した「不動産にかかわる情報ストックシステム基本構想」です。これは、システム構築の基本的な方向性を定めたもので、横浜市ではこの構想をベースにしつつ、市の保有情報を不動産総合DBに取り込む形式で試行運用を実施してきました。また、28年10月から新たに試行運用する静岡市、大阪市、福岡市の3都市では、自治体の保有情報を公開しているGISサイトと、不動産総合DBをリンクさせる形式で実施するといいます。

新しい試みがどんな風に不動産業界を変えていくのか、今後も動静を見守っていきたいと思います。

不動産会社20社に聞いた!「ポータルサイト利用の実態調査レポート」

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